久川秀則税理士事務所
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ゼミナール読むだけでわかる 非居住者・外国法人の税務
   
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ゼミナール国際課税

以下は、あくまでも取扱いの概略を簡潔に説明したものであり、厳密なものではありません。したがって、具体的な個別案件のご判断を行うために活用することはできません。
非居住者の所得に対する源泉徴収のあらまし
日本の企業などが、非居住者(個人)や外国法人と取引してその対価を支払う場合に、源泉徴収を行わなければならないのはどのような場合でしょうか。
わが国の所得税法では、所得税を納付する義務のある個人を、
1.居住者
2.非居住者
の2区分に分けてその取り扱いや納税義務を規定しています。
非居住者とは、「日本国内に住所を有せず、引き続き1年以上居所を有していない個人」をいい、一般的には、
1.1年未満の短期間来日した外国人(個人)
2.1年以上海外出国している日本人(個人)
などが該当します。
国内の企業等が、前述の例のような非居住者(個人)と取引し、契約による対価を支払う場合には、
1. 国内法(所得税法)により、その対価が、国内源泉所得に該当するか(所得税法161条)
2. 国内源泉所得に該当する場合には源泉徴収を要するか(所得税法212条1項)
3. その非居住者が日本と租税条約を締結している国の居住者であるか否か(45条約、56カ国適用)
4. 租税条約の適用のための手続き(租税条約の実施特例法)、減免結果としての税率はどのように規定されているか
などを順次検討した上で、所得税の源泉徴収の有無、徴収すべき税額が決定されます。
では、以上の取扱いを、典型的な例として、米国の居住者で公演活動のために来日したアーチスト(歌手)Aさんに対して、公演の主催者である日本企業B社が、直接出演契約を締結し、その出演契約に従って、国内で提供した芸能役務(コンサートへの出演)の対価(ギャラ:出演料)1,000万円を、国内で支払った場合を想定して、その取扱いをまとめてみると以下の流れで検討され、源泉徴収すべき内容が決定します。なお、一部前提で記載し切れていない前提条件も補足しながらご説明します。
1. 歌手Aさんは、B社との出演契約に従って、1ヶ月未満の期間、米国から来日しただけであり、日本国内に住所を有せず、また、1年以上居所を有する事実もありませんので、わが国所得税法上は、「非居住者(個人)」に該当します。(所得税法2条1項三号・五号)
2. 歌手AさんがB社から支払を受ける出演料は、日本国内でコンサートに出演したことに対する対価ですので、非居住者(個人)が、わが国で所得税を納税すべき「国内源泉所得」に該当します。
(所得税法161条1項八号、同法施行令283条1項一号)
3. 歌手Aさんに出演料を支払うB社は、国内において「非居住者(個人)」に「国内源泉所得」を支払うことになるため、所得税を源泉徴収し、その翌月10日までに国に納税することとなります。
(所得税法212条1項)
4. その際に、源泉徴収する所得税の金額は、支払金額1,000万円の20%の200万円となります。
(所得税法213条1項一号)
5. 以上は、国内法である所得税法による納税義務ですが、Aさんは米国が居住地国であり、税法上は米国の居住者ですので、日本と米国間で締結された租税条約の適用を受けることができます。
6. 日米租税条約においては、Aさんのような芸能人の出演料などの所得については、設例のような場合においては、日本においても課税を行うことができることとされており、前述の国内法による課税の取扱いを軽減・免除するような規定はありません。
(日米租税条約16条1項)
7. 以上の検討の結果、B社においては、国内でAさんに出演料1,000万円を支払う場合に、200万円の所得税を源泉徴収(天引き)し、国に納税することになるため、差し引き800万円の現金を支払うことになります。
以上は、説明のために簡潔な例を前提としたものですが、実際には、多くの場合においてAさんとB社との契約にはプロモーターと称する会社が介在した契約となりますし、支払う出演料もほとんどはドルで支払う契約になり、源泉徴収した税額については納税証明を税務署長から発行してもらう必要があるなど、実務は複雑ですし、米国以外の居住者の場合には、それぞれ日本との租税条約の取扱いを確認する必要があります。
同じ出演料でも、居住者に対する場合と比較して、簡潔な例においても非常に検討するステップが多いことがわかりますね。
[税理士法人 原・久川会計事務所 平塚橋事務所] TEL : 03-6410-4418 FAX : 03-6410-4420
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